ビールの香りと味を言語化するコツ|クラフトビール飲み比べ実務ガイド
クラフトビールの飲み比べで「おいしい」以外が言えないと、メモや共有が続きません。香り・味・口当たりを順番に整理すると、初心者でも表現が増えます。実務で使える言語化の型をまとめます。
ビール目次
まずは「言語化の型」を決める
表現が出ない原因は、センスより順番がないことが多いです。毎回同じ手順で観察すると、語彙が少なくても比較できるようになります。
おすすめは「香り→味→口当たり→余韻→一言」
- 香り:第一印象(鼻)
- 味:甘み・苦み・酸味など(舌)
- 口当たり:炭酸、ボディ、なめらかさ(口)
- 余韻:後味の長さ、残る要素(飲み込んだ後)
- 一言:似ている食品・シーン(記憶に残す)
「強さ+方向」で書くとブレにくい
いきなり詩的に書こうとせず、まずは定量的な言葉を足します。
- 強さ:弱い/中くらい/強い
- 方向:柑橘っぽい、ローストっぽい、ハーブっぽい など
例:「香り:中くらい、柑橘寄り」「苦み:強め、後半に出る」
香りを言語化するコツ(嗅ぐ手順つき)
香りは「立ち上がり」「回した後」「飲む直前」で変わります。段階を分けると拾える要素が増えます。
手順:3回に分けて嗅ぐ
- ①グラスに注いだ直後:華やかさ、揮発する香り
- ②軽く回す:奥にある香り(麦・酵母・樽系など)が出やすい
- ③一口飲む直前:鼻と口がつながる直前の印象
香りの「カテゴリ」を先に当てる
具体名が出ないときは、まず大枠だけで十分です。
- フルーティ(柑橘、トロピカル、ベリーなど)
- フローラル/ハーブ(花、草、松っぽさ)
- モルティ(パン、ビスケット、カラメル)
- ロースト(コーヒー、カカオ、焦げ)
- スパイシー(胡椒、クローブ系)
- 発酵由来(酵母っぽい、乳酸っぽい等)
不確かな場合は「〜のような」「〜寄り」で逃げ道を作ると、無理に断定せずに記録できます。
味を言語化するコツ(要素を分解する)
味は「甘み・苦み・酸味・塩味・うま味」と、温度や炭酸で印象が揺れます。まずは主要2要素だけでも書けると比較が進みます。
甘み・苦み・酸味を「出るタイミング」で書く
- 入口:飲んだ瞬間に何が来るか(甘み先行、苦み先行など)
- 中盤:広がり方(じわじわ、ふくらむ、切れる)
- 後半:余韻に何が残るか(苦みが残る、酸で締まる等)
例:「入口はやや甘い→中盤で苦みが追いかける→後半はドライに切れる」
「ホップの苦み」と「焙煎の苦み」を分ける
同じ苦さでも性格が違います。分けて書くと精度が上がります。
- ホップ由来:シャープ、樹脂っぽい、草っぽい苦みになりやすい
- ロースト由来:コーヒー・カカオのように香ばしい苦みになりやすい
※銘柄によって混ざるので、「どちらかと言えば」でOKです。
飲み比べを成功させる実務ポイント
飲み比べは条件がズレるとメモが比較になりません。難しい道具は不要なので、揃えられる範囲で統一します。
準備:同じグラス・同じ量・近い温度
- グラス形状を揃える(香りの立ち方が変わりにくい)
- 一杯の量を揃える(泡や温度変化の速度が近くなる)
- 冷えすぎは香りが出にくいので、少し温度が上がる時間も見る
順番:軽い→重い、苦み弱→強が基本
強いIPAや濃色系から入ると、後の繊細さが取りにくいです。迷ったら、色が薄い・アルコール感が軽い・香りが穏やかそうなものから。
メモテンプレ(そのまま使えます)
- 香り:強さ(弱/中/強)+カテゴリ(例:柑橘寄り)
- 味:入口(甘/苦/酸)→中盤→後半
- 口当たり:炭酸(弱/中/強)、ボディ(軽/中/重)
- 余韻:短/中/長、残る要素
- 一言:似ているもの/合いそうな料理
表現に詰まったときの「言い換え」早見
語彙が出ないときは、評価語ではなく状態語に寄せると書きやすいです。
使いやすい言葉セット
- 香り:華やか/穏やか/青い/香ばしい/発酵感
- 味:丸い/シャープ/ドライ/ジューシー/キレる
- 口当たり:なめらか/ざらつく/クリーミー/軽い/重い
- 余韻:すっと消える/じわっと残る/苦みが残る/甘みが残る
まとめ:正解探しより「比較できる記録」を作る
ビールの香りと味の言語化は、才能より手順で安定します。「香り→味→口当たり→余韻→一言」の型で、強さと方向を添えて書くのがコツです。飲み比べの条件を揃え、同じテンプレで記録すれば、クラフトビールの違いがはっきり見えるようになります。
この記事をシェアする
B!