ビールの香りと味を見分けるコツ|基本の考え方と自宅でできる練習法
クラフトビールを飲んで「いい香り」「苦い」だけで終わってしまう…そんな悩みはよくあります。香りと味はコツを押さえると、初心者でも整理して感じ取れるようになります。この記事では基本の見分け方と、家でできる練習法をまとめます。
まず押さえたい「香り」と「味」の基本
ビールの印象は大きく「香り(鼻で感じる)」と「味・口当たり(口で感じる)」に分けて考えると整理しやすいです。さらに、飲み込んだ後に戻ってくる香り(レトロネーザル)も重要です。
香りは「鼻で嗅ぐ」と「飲んで戻る香り」で分ける
グラスに鼻を近づけて感じる香りだけが全てではありません。口に含んでから鼻へ抜ける香りは、同じビールでも印象を変えます。
- トップノート:グラスから立つ第一印象の香り(柑橘、花、麦など)
- レトロネーザル:口に含んだ後、鼻へ抜けて感じる香り(樽っぽさ、トースト、スパイスなど)
味は「甘味・苦味」だけでなく要素を分解する
味の感想が単調になる原因は、評価軸が少ないことです。次の要素に分けて言語化すると、一気に見分けやすくなります。
- 甘味:麦芽由来のはちみつ・パンのような甘さ
- 苦味:ホップの苦さ(質感はキレ/じわじわ/後引き など)
- 酸味:爽やかさ、ヨーグルト様、果実感(スタイルで強弱)
- 旨味・コク:穀物感、だしのような厚み、余韻
- 口当たり:炭酸の強弱、滑らかさ、軽い/重い(ボディ)
- 余韻:飲み込んだ後に何が残るか(苦味・甘味・香ばしさ等)
香りと味を見分ける「飲み方」のコツ
高価な道具がなくても、飲み方を少し変えるだけで情報量が増えます。クラフトビールでも大手ラガーでも同様に使えます。
1)グラスに注いで「泡」と「香りの立ち」を見る
缶・瓶から直飲みだと香りが取りにくくなります。まずはグラスに注ぎ、泡が落ち着くまで少し待つと香りが拾いやすいです。泡は香りを閉じ込めたり、逆に立ち上げたりもするため、泡の状態も観察ポイントになります。
2)短く嗅ぐ→少し離して嗅ぐ(鼻が慣れるのを防ぐ)
ずっと嗅ぎ続けると鼻が慣れて感じにくくなります。短く数回に分け、距離も変えると「柑橘っぽい」「草っぽい」などの違いが出やすいです。
3)ひと口目は小さく、二口目で要素を確認する
最初のひと口は全体像の把握、次のひと口で「苦味の出方」「余韻」「香りの戻り」を確認します。急いで飲み込まず、口の中で数秒転がすと口当たりや甘味が分かりやすくなります。
4)温度で印象が変わることを前提にする
冷えた状態はスッキリ感じやすく、温度が上がると香りや甘味・コクが見えやすくなる傾向があります。最初の印象だけで決めつけず、少し時間を置いてからもう一度香りと味を確認すると理解が深まります。
自宅でできる練習法(初心者〜中級者向け)
「当てる」よりも「違いを説明できる」ことが上達の近道です。難しい専門用語より、生活の中の言葉でOKです。
香りの語彙を増やす:身近な食材で嗅ぎ分け
クラフトビールでよく出る表現を、実物の匂いと結びつけると記憶に残ります。以下を少量用意して嗅ぐだけでも効果的です。
- 柑橘:レモン皮、グレープフルーツ皮
- トロピカル:マンゴー、パイナップル(ジュースでも可)
- ハーブ・草:ローズマリー、バジル
- 麦・パン:食パンの耳、ビスケット
- ロースト:コーヒー豆、カカオ
飲み比べ練習:同日に「タイプが違う2本」を用意する
1本だけだと基準が作りづらいので、方向性の違う2本を並べるのがおすすめです。たとえば「ホップが華やかなもの」と「麦芽の香ばしさが出るもの」など、違いが出やすい組み合わせにします。
比べるときは、次の順でメモすると迷いにくいです。
- 香り:第一印象(フルーツ/花/草/麦/ロースト など)
- 口当たり:炭酸の強さ、軽い/重い
- 味:甘味→苦味→酸味の順に確認
- 余韻:最後に残るのは何か(苦味、香ばしさ、甘さ)
メモの型を固定する:毎回同じテンプレで書く
上達しない原因は「感じ方」より「記録がバラバラ」なことが多いです。短くてもよいので、同じ型で残すと比較できるようになります。
- 香り:○○っぽい(例:柑橘、花、パン)
- 味:甘味△/苦味◎/酸味○(強弱は相対評価でOK)
- 口当たり:軽い/中間/重い、炭酸弱/中/強
- 余韻:短い/中/長い、残る要素(例:苦味が残る)
よくあるつまずきと対処法
「何も香らない」と感じる
温度が低すぎる、グラスが小さい、周囲の匂いが強い(料理や香水)などが原因になりがちです。少し温度が上がってから再確認し、可能なら口の広がるグラスに注いでみてください。
「苦い」しか分からない
苦味は目立つため、他の要素が隠れやすいです。苦味を「出方(最初から強い/後から来る)」「質(キレる/ねっとり)」に分けると、同じ苦さでも違いが見えます。
専門用語が難しい
無理に正解を当てる必要はありません。「みかんっぽい」「草のよう」「パンの耳」など、日常の言葉で十分伝わります。慣れてきたら、ラベルやブルワリーの説明を答え合わせとして使うと学習が進みます。
まとめ:まずは“分解して記録”で伸びる
ビールの香りと味は、才能よりも手順で見分けやすくなります。グラスに注いで香りを分けて取り、味は要素(甘味・苦味・酸味・口当たり・余韻)に分解してメモする。飲み比べとテンプレ記録を続ければ、クラフトビールの違いが言葉で説明できるようになります。