今さら聞けないビールの種類 基本と選び方ガイド
クラフトビールが身近になり、「ビールの種類が多すぎて選べない」「エールとラガーの違いが分からない」という声が増えています。本記事では、今さら聞けないビールの基本の種類と、シーン別・好み別の選び方をやさしく解説します。メニュー表を前に迷わなくなるための実務的なガイドとしてお役立てください。
ビール目次
ビールの「種類」は大きく2軸で考える
ビールの種類を理解するには、「発酵方法」と「色・味わい」の2つの軸で整理すると分かりやすくなります。
発酵方法による大分類:ラガー・エール・自然発酵
- ラガー(下面発酵)
低めの温度でじっくり発酵させるビールです。すっきりした飲み口で、いわゆる一般的な日本の大手ビールの多くがラガーに分類されます。 - エール(上面発酵)
比較的高めの温度で発酵させるため、香りやコクが出やすいスタイルです。クラフトビールでよく見かけるIPA(アイ・ピー・エー)やペールエールなどが代表的です。 - 自然発酵ビール
空気中の酵母などを利用した伝統的なスタイルで、酸味が特徴的なものが多く、ベルギーのランビックなどが知られています。
色・味わいでざっくり把握する
ビールは色や味わいでもおおまかに分類できます。
- ピルスナー系:黄金色で、のどごしすっきり
- ペールエール系:ホップの香りとほどよいコク
- IPA系:強めのホップ感と苦味、華やかな香り
- 黒ビール系(スタウト・ポーターなど):ロースト香と深いコク
- 小麦ビール系:やわらかくフルーティーな印象
メニュー表やラベルで迷ったときは、「ラガーかエールか」と「色・味わい」の2つをセットで見ると、自分の好みに近いものを探しやすくなります。
代表的なラガービールの種類
まずは日本でもなじみの深いラガービールから、基本のスタイルを押さえておきましょう。
ピルスナー:日本で一番なじみのあるスタイル
ピルスナーは、透き通った黄金色とキレのあるのどごしが特徴のラガーです。日本の大手ビールの多くは、このピルスナーをベースとしたスタイルとされています。
こんな人におすすめです。
- とにかく「ビールらしいビール」が飲みたい
- 食事と一緒に、邪魔にならない味わいを求めている
- 最初の一杯を爽快に飲みたい
ラガー系のバリエーション:ヘレス・ボックなど
ラガーには、ピルスナー以外にもさまざまなバリエーションがあります。
- ヘレス(ミュンヘン・ヘレス)
ピルスナーよりもホップの苦味が穏やかで、モルト(麦芽)の甘みを感じやすいスタイルです。まろやかな飲み口が好みの方に向いています。 - ボック
アルコール度数がやや高めで、麦芽のコクがしっかりしたラガーです。じっくり味わいたいときや、寒い時期におすすめされることが多いスタイルです。 - シュバルツ
ラガータイプの黒ビールで、見た目は黒くても、飲み口は比較的軽いのが特徴です。
「ラガーはどれも同じ」と思われがちですが、苦味の強さやモルト感、アルコール度数などで印象が大きく変わります。メニューに説明がある場合は、「苦味」「コク」「アルコール度数」の3点をチェックすると違いをつかみやすくなります。
香りが楽しいエールビールの種類
次に、クラフトビールで人気の高いエールビールの代表的なスタイルを見ていきます。
ペールエール:バランスのとれた入門エール
ペールエールは、モルトの甘みとホップの香り・苦味のバランスがよいスタイルです。色合いは淡い琥珀色〜銅色で、ピルスナーより香り豊かに感じられることが多いです。
こんな人に向いています。
- クラフトビールに興味があるが、どこから試せばいいか分からない
- 香りも楽しみたいが、苦すぎるのは苦手
- 和食・洋食どちらにも合わせやすいビールを探している
IPA(インディア・ペールエール):ホップ好きに人気
IPAは、ホップをたっぷり使ったエールで、強めの苦味と柑橘やトロピカルフルーツを思わせる華やかな香りが特徴です。クラフトビールブームを象徴するスタイルのひとつと言えます。
注意したいポイントは以下の通りです。
- 一般的なピルスナーより苦味が強いことが多い
- アルコール度数がやや高めのものもある
- 同じIPAでもホップの種類や製法で香り・苦味が大きく異なる
「フルーティーな香り」と書かれていても、同時に苦味も強いケースがあるため、メニューの説明や店員さんのコメントも参考にしながら選ぶと失敗しにくくなります。
スタウト・ポーター:黒ビール系エール
ローストした麦芽を使った黒いエールが、スタウトやポーターです。コーヒーやチョコレートを思わせる香ばしさや、濃厚なコクを楽しめます。
- スタウト:なめらかな口当たりで、濃厚さが際立つものも多い
- ポーター:スタウトよりやや軽めとされることが多いが、造り手によって印象はさまざま
「黒ビールは重いから苦手」と感じる人もいますが、実際にはアルコール度数が低めで飲みやすいものも存在します。メニューの説明で「ライト」「スムース」といった表現があれば、黒ビール初心者にも試しやすい選択肢になります。
すっきり&フルーティーな小麦ビールの種類
小麦を使ったビールは、やわらかな口当たりとフルーティーな香りが特徴です。苦味が控えめなものが多く、ビールが得意でない人にもおすすめされることがあります。
ヴァイツェン(ヘフェヴァイツェン)
ドイツ発祥の小麦ビールで、バナナやクローブ(スパイス)のような香りが特徴的です。にごりのある見た目で、泡立ちもきめ細かい傾向があります。
こんなシーンに合います。
- 昼飲みや、軽めに楽しみたいとき
- スパイス料理やサラダ、軽い前菜と合わせるとき
- 苦味が少なめのビールを探しているとき
ベルジャンホワイト(ウィットビール)
ベルギーの小麦ビールで、オレンジピールやコリアンダーなどのスパイスを使用することが多く、爽やかな酸味と香りが楽しめます。
暑い季節や、さっぱりした料理と相性がよく、「ビール=苦い」というイメージを変えてくれるスタイルとしても人気です。
ビールの選び方:迷ったときの実務的なチェックポイント
実際にお店や通販サイトでビールを選ぶとき、「種類の名前だけではよく分からない」ということも多いと思います。ここでは、ラベルやメニューでチェックしたいポイントを整理します。
1. 自分の「好み」を3つの軸で言語化する
まずは、自分の好みをざっくりで良いので整理しておきましょう。
- 苦味:弱め/ほどよく/しっかり苦い
- 香り:控えめ/ほどよく香る/香り重視
- ボディ(飲みごたえ):軽め/中くらい/しっかり
例えば「苦味はほどよく、香りは強め、ボディは中くらい」が好みであれば、ペールエールや軽めのIPAが候補に上がります。
2. メニューやラベルのキーワードを見る
メニュー表やラベルには、味わいを示すキーワードが書かれていることが多いです。
- すっきり・キレ:ピルスナーなどのラガー系
- フルーティー:エール系、小麦ビール系
- ロースト・コーヒー:スタウト、ポーターなど黒ビール系
- ホッピー・シトラス:IPAなどホップを強調したスタイル
スタイル名が分からなくても、これらのキーワードを手がかりに、自分の好みに近い1本を探せます。
3. シーンと料理との相性で選ぶ
同じ好みでも、飲むシーンによって選びたいビールは変わります。
- 最初の一杯・のどを潤したいとき:ピルスナーなど、すっきり系ラガー
- ゆっくり味わいたいとき:ペールエール、IPA、ボックなどコクのあるスタイル
- 食後やデザート感覚:スタウト、ポーター、風味の強いエール
- 軽めのランチや昼飲み:ヴァイツェン、ベルジャンホワイトなど小麦ビール
迷ったときは、「今はスッキリ飲みたいか」「じっくり味わいたいか」を決めてからスタイルを選ぶと失敗が少なくなります。
まとめ:基本の種類を押さえればビール選びはもっと楽しくなる
ビールの世界は奥が深く、すべてのスタイルを覚える必要はありません。まずは以下のポイントを押さえておけば、メニュー表の前で困りにくくなります。
- 発酵方法で「ラガー」と「エール」に大きく分かれる
- ラガーはピルスナーを中心に、すっきりした飲み口
- エールはペールエールやIPA、スタウトなど、香りやコクが多彩
- 小麦ビール(ヴァイツェン、ベルジャンホワイト)はやわらかくフルーティー
- 苦味・香り・ボディの3軸と、飲むシーンを意識して選ぶ
基本の種類と選び方さえつかめば、クラフトビールの世界はぐっと身近になります。次にビールを選ぶときは、本記事のポイントを思い出しながら、気になるスタイルに一歩踏み出してみてください。
