クラフトビールガイド:最新トレンドと選び方実務講座
クラフトビールが一気に身近になり、取引先や社内イベントでも「とりあえずクラフトで」と言われる機会が増えました。ですが、種類が多くて違いが分からず、提案や手配に悩む方も多いはずです。本記事では、最新トレンドを押さえつつ、仕事で失敗しないクラフトビールの選び方・伝え方の実務ポイントを整理します。
ビール目次
クラフトビールの基礎知識を仕事目線で整理する
クラフトビールとは?ざっくり押さえる定義
クラフトビールの厳密な定義は国や団体によって異なりますが、実務では次のように理解しておくと便利です。
- 大手大量生産ではなく、小〜中規模のブルワリーがつくる
- 原料や製法にこだわりがあり、味の個性がはっきりしている
- 地域性やストーリーが打ち出されていることが多い
会話や提案では「味や香りに個性がある少量生産のビール」と説明すれば、ビールに詳しくない相手にもイメージが伝わりやすいです。
スタイルを3〜5種類に絞って覚える
世界には非常に多くのビアスタイルがありますが、実務でよく登場するものを絞って押さえる方が現実的です。
- IPA(アイピーエー):ホップ由来の苦味と香りが強め。クラフトビールらしさを感じやすい定番。
- ペールエール:IPAより少し穏やかでバランス型。初めてクラフトを飲む人にもすすめやすい。
- ピルスナー/ラガー:大手ビールに近いスッキリ系。飲みやすさ重視の場面で使いやすい。
- ヴァイツェン(小麦ビール):フルーティーで苦味控えめ。ビールが得意でない人にも好評なことが多い。
- スタウト・ポーター:ロースト香のある黒ビール。少量をじっくり楽しむイメージ。
提案時には、すべてを網羅しようとせず「定番ホップ系」「飲みやすいバランス型」「黒ビール」「フルーティー」といったカテゴリーで整理して説明すると相手が選びやすくなります。
クラフトビール最新トレンド:何を押さえておくべきか
低アルコール・ノンアルコールの充実
健康志向や働き方の変化により、低アルコール・ノンアルコールのクラフトビールが増えています。社内イベントやランチ会、オンライン懇親会など「酔いすぎたくない場面」で重宝されます。
特に実務で意識したいポイントは次の通りです。
- ノンアル・ローアルを1〜2種類は必ず混ぜてラインナップを組む
- 「飲めない人向け」ではなく「気軽に楽しみたい人向け」と説明する
- ラベルやデザインがおしゃれなものを選ぶと、写真映え・SNS映えも期待できる
フルーツやスパイスを使った「わかりやすい」個性
かつてはホップの苦味が主役のビールが中心でしたが、近年はフルーツやハーブ、スパイスを使った分かりやすいフレーバービールが増えています。ビール初心者やワイン・カクテル派の人にも提案しやすいジャンルです。
- 柑橘系フルーツを使った爽やかなビール
- ベリー系やトロピカルフルーツで甘酸っぱさを出したビール
- 山椒・ゆず・緑茶など和素材を取り入れたビール
企画書や案内文では、専門用語を多用せず「○○風味で、ビールが苦手な方にも飲みやすいタイプ」といった言い回しを使うと、伝わりやすくなります。
ローカル&サステナブル志向
地域の農産物を使ったり、環境配慮型の仕込みを行うブルワリーも増えています。自治体連携イベントや、企業のサステナビリティ施策と相性が良い領域です。
- 地元産ホップ・麦・果物などを使用した”ローカルビール”
- 廃棄原料の有効活用や、省エネ醸造を打ち出すブルワリー
- 地域イベントやフェスと連動した限定ビール
社内外への説明では、「地元の素材を使ったビールで地域を応援しています」「環境に配慮したブルワリーのクラフトビールを採用しています」といった一言を添えると、選定理由に説得力が出ます。
場面別:クラフトビールの選び方実務ガイド
社内懇親会・キックオフでの選び方
社内イベントでは「ビールが得意でない人もいる」「年齢層が広い」といった前提を意識する必要があります。次のような組み合わせを意識すると使いやすいです。
- 飲み慣れた人向け:IPAやペールエールなどホップの効いた1〜2種類
- ビール初心者向け:ヴァイツェンやフルーツビールなど飲みやすい1〜2種類
- 定番志向向け:ピルスナー系の飲みやすい1種類
- ノンアル・低アル:少なくとも1種類
案内文には、銘柄名だけでなく「苦味しっかり」「フルーティーで飲みやすい」などの簡単な説明を必ず添えましょう。それだけで、参加者の選びやすさが大きく変わります。
取引先とのギフト・手土産に選ぶときのポイント
ビジネスギフトでは、相手企業の規模や好みが事前に分からないケースも多いため、「万人受け」かつ「説明しやすい」セットを選ぶのが鉄則です。
- 地域性:相手先の地域、または自社の拠点地域のブルワリーを選ぶ
- バランス:苦味の強いもの・飲みやすいもの・フルーティー系をバランスよくセットに含める
- パッケージ:ビジネスシーンになじむ落ち着いたデザインを選ぶ
メッセージカードには、「○○エリアのクラフトビールを中心に、飲みやすさの異なる数種をお選びしました」といった短文を添えると、相手も選び方に困りません。
イベント企画でのラインナップ設計
試飲会やキャンペーンなど、イベント企画でクラフトビールを扱う場合は「体験設計」が重要です。単に種類を並べるのではなく、ストーリーやテーマを決めてラインナップを組み立てます。
- テーマ例1:ホップの違いを楽しむIPA飲み比べ
- テーマ例2:地元×全国 有名ブルワリー飲み比べ
- テーマ例3:ビールが苦手でも楽しめるフルーティーセレクション
当日の運営では、簡単なテイスティングシートや説明POPを用意すると、スタッフの説明負荷が軽減され、参加者の理解も深まります。
ラベル・説明文から味を読み解くコツ
よく出てくるキーワードの意味
クラフトビールのラベルやオンラインショップでは、独特の表現が多く、初心者には分かりづらいことがあります。最低限、次のようなキーワードは押さえておくと便利です。
- シトラシー:レモンやグレープフルーツを思わせる柑橘系の香り
- トロピカル:マンゴーやパッションフルーツのような甘い香り
- モルティ:麦芽由来の香ばしさやコクを感じる味わい
- ドライ:キレがあり後味がすっきりしている
- ジューシー:果汁感のあるジューシーな飲み口(NEIPAなどでよく使われる)
企画書や注文書を作る際は、これらのキーワードをそのまま転記するだけでなく、「シトラシー(柑橘系の香り)」「モルティ(コクのある味わい)」のように補足を入れると、関係者全員がイメージを共有しやすくなります。
度数・IBU・原材料のチェックポイント
スペック表を見る際に、確認しておきたいのは次の3点です。
- アルコール度数:仕事の会食や昼間のイベントでは、高すぎないものを中心に選ぶ
- IBU(苦味の指標)が表記されていれば、数値が大きいほど苦味が強くなる傾向
- 原材料:フルーツやスパイス、米・小麦などが入っていれば、味や香りの特徴を説明しやすい
IBU値などはブルワリーによって表記方針が異なるため、あくまで目安としてとらえ、「苦味しっかり」「比較的マイルド」程度の言い回しで説明するのが安全です。
実務で失敗しないためのチェックリスト
発注前に必ず確認したいポイント
- イベントの目的(カジュアル交流か、フォーマルな会食か)
- 参加人数と、飲酒する人の割合の目安
- ビール以外のドリンク有無(ワインやソフトドリンクとのバランス)
- 提供温度・グラス・保冷手段が確保できるか
- 納期・在庫・冷蔵配送の条件
これらを事前に整理した上でブルワリーや販売店に相談すると、相手からも具体的な提案を得やすくなります。
社内説明・レポートで押さえるべき観点
導入後の社内報告や次回への改善に向けて、簡単なフィードバックを取っておくと便利です。
- 参加者の反応(好評だったスタイル・不評だったスタイル)
- 数量の過不足(あとどれくらい少なく/多くてよかったか)
- 運営面の課題(冷蔵・配布・説明のしやすさなど)
この記録を残しておくことで、「前回も好評だった○○スタイルを軸にします」と自信を持って提案できるようになります。
まとめ:完璧を目指さず、「選びやすさ」を設計する
クラフトビールは種類が多く、すべてを理解しようとすると負担が大きくなります。実務で重要なのは、全員の好みに完璧に合わせることではなく、「選びやすいラインナップ」と「分かりやすい説明」を用意することです。
まずは、代表的なスタイルを3〜5種類覚え、低アル・ノンアルを1種類は必ず含めることから始めてみてください。少しずつ経験値を積み重ねていけば、クラフトビールはビジネスシーンにおいても、強力なコミュニケーションツールになっていきます。
