今知りたいクラフトビールガイド|失敗しない店選びと銘柄選びの実務知識
クラフトビールに興味はあるけれど、「お店の選び方が分からない」「種類が多すぎて銘柄選びに自信がない」と感じていませんか。この記事では、初心者〜中級者が実務的に使えるクラフトビールの店選び・銘柄選びのポイントを、現場でそのまま役立つ形で整理してご紹介します。
ビール目次
クラフトビールを楽しむ前に押さえたい基礎知識
まずは、お店選びや銘柄選びで迷わないために、最低限押さえておきたい基礎を確認します。
クラフトビールとは何かをざっくり理解する
クラフトビールには、法律上の明確な定義がない場合もありますが、一般的には「小規模な醸造所が、独自のレシピやこだわりをもって造るビール」を指すことが多いです。
大手ビールと比べて、味わいや香りのバリエーションが豊富で、地域性やストーリー性が重視されやすいのが特徴です。お店選び・銘柄選びでは、この「多様性」を前提にしておくと、選ぶ楽しさがぐっと広がります。
スタイル(種類)を大まかに押さえておく
クラフトビールの世界では、ビールのタイプを「スタイル」と呼びます。スタイルは数多く存在しますが、初心者〜中級者がまず覚えておくと実務上便利なのは以下のようなものです。
- ピルスナー(Pilsner):ラガービールの一種。すっきり飲みやすく、普段の日本の大手ビールに近い印象。
- ペールエール(Pale Ale):ほのかな香りとほどよい苦味。クラフトビールの入り口として選ばれやすいスタイル。
- IPA(アイピーエー):ホップ由来の華やかな香りとしっかりした苦味。香り重視の人やクラフト好きに人気。
- ヴァイツェン(Weizen):小麦を使ったビール。バナナやクローブのような香りで苦味がやわらかい。
- スタウト(Stout):黒ビール系。焙煎した麦芽の香ばしさとコーヒーやチョコレートを思わせるフレーバー。
すべてを暗記する必要はありませんが、「すっきり系」「香り系」「黒ビール系」など、自分の好みをざっくり言語化しておくと、お店での会話がスムーズになります。
失敗しないクラフトビール店の選び方
同じクラフトビールでも、お店によってラインナップや雰囲気、サービスの質は大きく変わります。ここでは、最初の店選びで困らないための実務的な視点を整理します。
まずチェックしたい基本情報
クラフトビール店を探す際は、検索サイトや地図アプリ、SNS、レビューサイトなどで、次のポイントに注目するとよいです。
- タップ数(ドラフトの種類数)
常設の樽生ビールがどれくらいあるかを示す目安です。多ければ良いというわけではありませんが、ある程度の数があれば、スタイルの幅を楽しみやすくなります。 - ボトル・缶の取り扱い
樽生だけでなく、ボトルや缶も扱う店は、国外の銘柄やレアなビールに出会える可能性があります。 - フードメニュー
ビールを主役にするのか、食事も重視するのかで選ぶべき店が変わります。ペアリングに力を入れている店は、銘柄選びのアドバイスも得やすい傾向があります。 - 価格帯
クラフトビールは大手ビールより価格が高めなことが多いです。メニュー写真や公式サイトで一杯あたりの目安を確認しておくと、会計時のギャップを防げます。
初心者にやさしいお店の見分け方
初めての人が入りやすく、銘柄選びもしやすい店には、いくつか共通の特徴があります。
- メニューにスタイルや味わいの説明が書かれている
- サイズ(小さめグラスなど)が選べて、少しずつ試しやすい
- スタッフがビールに詳しく、相談しやすい雰囲気がある
- 「飲み比べセット」「フライト」など、複数種類を少量ずつ試せるメニューがある
レビューのコメント欄で「初心者にも丁寧に説明してくれた」「好みに合わせて選んでくれた」といった記述があるかも、判断材料になります。
シーン別の店選びのポイント
利用シーンに応じて、重視すべき条件は変わります。次のように整理しておくと、検索時に条件を絞り込みやすくなります。
- 一人でゆっくり飲みたい
カウンター席の有無、静かなBGM、Wi-Fiの有無などをチェック。小さめのビアバーやタップルームが向いています。 - 友人とわいわい楽しみたい
テーブル席の多さや、食事メニューの充実度、予約可否を確認。クラフトビールレストランやビアパブが候補になります。 - 仕事帰りにさくっと1〜2杯
駅からのアクセス、入店しやすい雰囲気、グラスサイズの選択肢が重要です。立ち飲みスタイルのビアスタンドなども便利です。
クラフトビール銘柄の選び方:実務で使えるヒアリング術
お店が決まったら、次は銘柄選びです。「おすすめで」と丸投げするのも一つの手ですが、自分の好みを簡潔に伝えられると、より満足度の高い一杯に近づきます。
自分の「基準ビール」を決めておく
まず、普段よく飲むビールを基準にして好みを整理しておくと便利です。
- いつも大手のラガービールを飲んでいる → すっきり系・苦味控えめが好き
- 香りが強いビールやフルーティーなものが好き → エール系・IPA・ヴァイツェンなどが候補
- 黒ビールやコーヒー・チョコ系の味わいが好き → スタウトやポーターが候補
「普段は◯◯をよく飲みます」「こういうビールが好きです」と伝えるだけでも、スタッフはかなり選びやすくなります。
お店で使える注文フレーズ集
実務的に役立つ、店頭でそのまま使えるフレーズをいくつか挙げます。
- 「すっきり飲みやすいビールでおすすめはありますか?」
- 「香りが華やかで、苦味は強すぎないものを飲みたいです。」
- 「IPAに興味がありますが、あまり苦すぎないものはありますか?」
- 「黒ビールはあまり得意ではないので、それ以外でお願いします。」
- 「少なめサイズで、まず1杯試してみたいです。」
味の好み(すっきり・香り重視・甘め・苦味しっかり・酸味あり/なし)と、NGなスタイルを伝えられると、ミスマッチを減らせます。
メニュー表の見方と比較のコツ
メニュー表には、スタイル名のほかに、アルコール度数や苦味の指標、簡単なテイスティングコメントが載っていることがあります。
- ABV(Alcohol By Volume):アルコール度数。度数が高いほど、飲みごたえが増す傾向があります。
- IBU:苦味の目安として使われることがあります。数値が大きいほど、一般的には苦味が強いとされますが、感じ方には個人差があります。
- テイスティングコメント:「柑橘系の香り」「トロピカル」「ロースト香」などのキーワードを手がかりに、自分の好みに近いものを探します。
分からない用語があれば、そのままスタッフに聞いてしまうのが最も確実です。「この2つの違いはどんなところですか?」といった聞き方をすると、特徴がイメージしやすくなります。
飲み比べ方と記録のしかたで「好み」を育てる
クラフトビールは一度で理解しきる必要はありません。数回に分けて少しずつ試しながら、自分の好みを育てていくイメージで進めると楽になります。
1回の訪問での飲み方の目安
初めての店では、いきなり度数の高いビールから始めるよりも、次のような流れを意識すると、味わいの違いを感じやすくなります。
- 1杯目:すっきり系・ライトなスタイル(ピルスナーやペールエールなど)
- 2杯目:香りが華やかなスタイル(IPAやホップ香の強いエールなど)
- 3杯目以降:黒系や度数高めなど、個性の強いスタイル
お店に飲み比べセットがある場合は、少量で複数スタイルを試しながら、自分の好みに近いものを見つけていくと効率的です。
スマホメモで簡単テイスティングノート
「おいしかったのに名前を忘れた…」を防ぐには、スマホで簡単にメモを残しておくのがおすすめです。最低限、次の3つを書いておくと、次回以降の銘柄選びに活かしやすくなります。
- 店名と日付
- ビール名とスタイル
- 自分の一言コメント(例:香りが好み/苦味が強すぎた/また飲みたい)
写真撮影がOKなお店なら、メニューやグラスの写真を残しておくと、あとから銘柄を探しやすくなります。
まとめ:クラフトビールは「お店」と「人」に頼るのが近道
クラフトビールの世界は広く、すべてを覚えるのは現実的ではありません。実務的な視点では、次の3点を押さえておくと失敗しにくくなります。
- 自分の好みをざっくり言語化しておく(すっきり/香り重視/黒系など)
- 初心者にやさしい店を選び、説明付きメニューやスタッフの提案を活用する
- 飲んだビールを簡単に記録し、次回の銘柄選びに活かす
店選びと銘柄選びに慣れてくると、同じ一杯でも満足度が大きく変わってきます。無理に背伸びをせず、「今日はどんな一杯に出会えるかな」という感覚で、少しずつクラフトビールの世界を広げてみてください。

